アルコール依存症治療に変化「断酒」から「減酒」へ 湯本洋介医師・外来を開設、テストで問題判定「日本ではこれから」

al_2017-0920

記事本文にもあるように長らくの間、アルコール依存症の治療は100%断酒という大前提があって、初めて治療開始というステップを踏むのだが、この際に多くの依存症患者および予備軍患者を待ち受けるのは、患者自身がアルコール依存症を頑なに認めようとしない否認である。

なぜ医師からアルコール依存症と宣告されても患者はその病気を否認するのか?

答えは実に明解で、アルコール依存症の治療ステージへと進むためには断酒を受け入れざるを得ないという絶対条件に問題があった。

医師から「あなたはアルコール依存症です」と突然宣告されたときに、自分自身の中で病気を受け入れることが治療のために乗り越えなければならない高い壁なのだが、しかし患者は100人中100人がこの病気を否認してしまう。

これは「自分は決してアルコール依存症ではない!」という知識不足と「一生酒が飲めないなんて冗談じゃない!」という悲憤慷慨ともいえる。

わたしも主治医から初めてアルコール依存症であると宣告されたとき、その事実を受け入れることが出来ず、憤慨して主治医と激しい口論になったことがあった。

他の依存症患者もおそらくは、近からず遠からずのご経験をされていることだろう。

だからアルコール問題を抱えている患者予備軍たちが、医療機関での診察に二の足を踏む足枷となったのは紛れもなく断酒・否認という大きな問題点があったからだ。

また薬物療法にしても治療薬は、2012年まで2種類の抗酒薬ジスルフィラム(商品名ノックビン)シアナミド(商品名シアナマイド)しか選択肢が無かった。

抗酒薬の働きを最も簡潔に説明するならば、わざと悪酔いの状態を作り出して「酒を飲んでも気持ち悪くしかならない」ことを身体に覚えさせて脳に擦り込む対症療法である。

しかし2013年に飲酒欲求を抑制する治療薬として、アカンプロサート(商品名レグテクト)が発売されたことによって、アルコール依存症の薬物療法にも幅が効くようになってきた。

アルコール依存症治療薬の処方患者数シェアも、2016年4月にはレグテクトのシェアが54%、シアナマイドが37%と17ポイントの差がついて、シアナマイドを抜きレグテクトがトップに躍り出る(※1)ことになる。

わたしは現在もこのレグテクトが処方されているが、確かに激しい飲酒欲求に襲われることは無くなっている気がする。でもこれは合わせて服用している抗酒薬ノックビンと併用することで、より高い治療効果が得られているからだろう。

欧米ではアルコール依存症のポピュラーな治療薬でもあるナルトレキソン(国内未承認)があるが、1995年米国でアルコール依存症の治療薬としてナルトレキソンの有用性を調べた結果、プラセボと同程度の治療効果しかないという研究結果(※2)が報告されたことがある。

だが2014年ノースカロライナ大学のDaniel E. Jonas氏らが外来でのアルコール依存症治療について、アカンプロサートと経口ナルトレキソンは何れも同程度に再飲酒を抑制する効果があるとの研究報告(※3)をJAMA誌が2014年5月14日号に掲載している。

またフランスでは50年前にてんかん治療薬として開発されたバクロフェン(商品名リオレサール・ギャバロン)日本では主に痙攣を抑える抗痙縮剤として使用されているが、近年では2008年よりアルコール依存症の治療薬としての研究が進められている。

AP通信によれば2012年に発表された大量飲酒者132人を対象とした実験結果において、バクロフェンを投与された被験者の80%が断酒もしくは減酒に成功し、適度な酒量に改善されたと報告(※4)している。

この80%というバクロフェンの治療効果は、アカンプロサートやナルトレキソンという既存の処方薬と比較して、20%〜25%ほど高い治療成功率が見られたという。

更に研究が進むことで薬物療法の選択肢が増えれば、依存症患者の症状に応じて選択肢に幅が出るため、患者の症状が重篤化する前に進行を食い止めることが、高い確率で可能となるはずだ。

何れにせよアルコール依存症は進行性の疾患であるから、重篤化する前に「お酒を控える」という意識付けが非常に大事だと思う。

そのためにはアルコール依存症が有する、社会不適合者をイメージさせる負のオーラをまず払拭していかなければならない。

官公庁や行政を始めとするアルコール依存症の啓蒙活動などを広く行い、医療機関の取り組み方なども周知させていかなければならないだろう。

まずは医療機関や保健所などへ相談・診療についての導線作りを徹底することで、医療機関の診察に対するイメージの悪さや、精神的なハードルの高さを取り除いていくことがとても重要な対策だと思う。

記事:http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201709/CK2017091902000166.html
出典:http://www.readunwritten.com/
引用:アルコール依存症用薬レグテクト 処方患者数シェアでトップ、3月以降は過半数で使用 JMIRIまとめ(※1)
https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/54321/Default.aspx
引用:オピオイド拮抗薬ナルトレキソン、アルコール依存症の治療効果はプラセボ並み(※2)
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/160499.html
引用:アルコール依存症、薬物治療の減酒効果は? – JAMA(※3)
https://www.carenet.com/news/journal/carenet/38058
引用:アルコール依存症治療に高い効果か?「バクロフェン」仏で商品化申請(※4)
https://zuuonline.com/archives/143573
参考:アルコール依存症の救世主なるか?飲む前に飲む薬で依存症を取り除いていく「シンクレアメソッド」法(英研究)- カラパイア
http://karapaia.com/archives/52234328.html

TAKEMOTO, Toshio
TAKEMOTO, Toshio
わたしはPsychopathでありAlcoholismと戦っています

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