「マンション管理人」の人手不足がヤバすぎる 知られざる実態、時給3割増でも集まらない

bu_2017-0531

マンション業務って昔と比べると完全に別物になっているんだよね。マンション管理人然り、マンション清掃員然り…。しかも今後益々超高齢社会になっていくから、パイの奪い合いが更に厳しいものになっていく。

記事にざっと目を通して、いの一番に気になったことは

「都心5区の管理人の時給は今や1200〜1300円。しかも交通費は別。数年前は1000円以下だったのに」

って管理会社担当者が嘆いたこの件り。でも時給1200円/8時間作業で雇用したとしても日給1万円には届かないんだよ。これが週5日勤務で月間21日稼働とすれば額面で201600円。

ここから社保年金や所得税など控除すれば、通勤手当を除く手取り額は18万円を楽勝で切るでしょう?「この程度の賃金では都心5区に行ってまで働く労働の対価には見合わない」って思われてしまうんだろうね。

マンション管理人が身体を動かす肉体的負担は、高齢者の方でもそこまでキツくないはず。但しそのマンションの世帯数が多くなれば、その分ゴミ出し作業がちょっと大変になるかもしれないけど。

管理人業務をやる上でなにより負担が大き過ぎるのは「居住者対応」に尽きる。そこにちょっとモンクレ気質な居住者がひとりでも居ようものなら、管理人なんていつ解雇されたっておかしくないからね。なんつうかロシアン・ルーレットの緊張感にも似てる。笑

マンション管理人を派遣している管理会社、もしくは清掃会社もモンクレ居住者=管理組合から頭ごなしに「管理人を変えろ!」とクレームをつけられてしまえば、決して「NO」と突き返すことが出来ないんだからさ。

結局自分を雇い入れたその会社ですら、顧客からの一方的なクレームを受けたってだけで雇用を守ってくれないんだからさ。そんな就業環境が劣悪な現場をたかだか時給1200円程度でやるわけ無いじゃん?いくらなんでもそれは虫が良すぎる話しだわ。笑

そんな会社の勤務地に電車で片道1時間もかけて働きに行くメリットって無いでしょ?それなのに雇用は不安定で手取り18万円を下回って、しかも賞与だってもらえないとか。その辺のトコをもうちょっと良く考えたほうがいいんじゃないかと思うよ?笑

ぶっちゃけウチの徒歩10分圏内にあるドラッグストアでも時給1100円で募集してるからね?失笑

わたしがマンション業務に携わっていたのは、もう20年以上も昔の話しになってしまうのだが、当時マンションの管理人や清掃をしてくれた人は60歳で定年を迎えたばかりの、まだまだ現役でバリバリやれる気力・体力を併せ持った質の高い人材が流れてきていた。

このような仕事をパートでおやりになる人達は「身体を動かしたい」とか「もうちょっと長い時間働きたい」という方がほとんどで「生活費のために」という人は、まったくと言っていいほどいなかったよ。

だからマンション清掃をやりつつ「他で嘱託の仕事が決まったので」と言うように、他企業から見ても「貴重な戦力」と見做されていたパート作業員の方が実際に多かった。

体力がまだバリバリで人質的にも社会経験を十分に積んで来られた60歳の方が清掃作業するのだから、それは我々社員が清掃するのと同じようなレベルでキレイに仕上がるし、居住者とのコミュニケーションも「適度な距離」を保って挨拶などの対応もキチンしてくれる。

マンションの管理人は、60代、企業の管理職経験者というのが相場だった。

これが記事本文中にある、わたしが知っているマンション業務の実情だったわけだ。

しかし近年企業では定年制の延長または再雇用の動きが活発化しており、以前のようにマナーや体力を持ち併せている人質の高い応募者が雇用市場からいなくなってしまったのが現状。

いまは大企業のほとんどが「65歳定年制」を敷いているし、人手不足感が顕著で新人を入社させても教育期間など考慮すれば、経験者の力がやっぱり必要との論調が労働市場では根強くなっている。

今後はこの65歳という年齢も更に引き上げる方向で政府や厚生労働省は調整に動いている。つまり社会である程度の役割を終えて、のんびりとマンション清掃をやりたいという応募者がいても、その年齢層は例え若い人でも70歳の大台を超えてしまっているだろう。

高齢者の方が清掃作業によって怪我を負うリスクというのは、当たり前なのだが高齢者ほど年齢に比例して危険度が高くなる。

これは15年ほど前、実際に現場で発生した転落事故なのだが、73歳女性の清掃員が上階からゴミ埃を掃きながら階段部を後ろ向きに一段一段降りてくる途中、あと二段で終わりというところで階段を踏み外して転倒してしまったのだが、この時の衝撃で右足を複雑骨折してしまった。

階段の二段も現場を見れば1メートルにも満たない高さなのだが、落ち方が悪く受け身を取れなかったことが災いしてしまった。やはりご高齢だったため体勢を崩したとき瞬時に身体を庇うことが出来なかったようだ。

また別のケースでは都心のいわゆる高級住宅地にあるマンションでの話しだが、高所得者が多く住んでいる地域ということも影響して、清掃員というパート仕事ではほとんど応募がない厄介なエリアだった。

ある日その地区の巡回をしていたときに、当時わたしが勤めていたブラック企業の作業着を着ていた方が作業していたので、挨拶をしてその方を労いながらしばらくその場で話し込んだのだが、年齢を聞くと78歳というご高齢の方だったのでビックリしてしまった。

そのパート清掃員と別れてから、即刻わたしはその地区を担当しているマネージャーに電話して「80歳に近い高齢者を作業に使って、万が一怪我でもされたらどうするんだ!」とややキレ気味に携帯電話で怒鳴っていた。

そのマネージャーは「わたしも無理を十分承知しています。しかしこの地域では何度となく募集をかけてもほとんど反応が無いのです。あの方は募集広告費を50万円近く使ってようやく応募してきてくれた方なんですよ。」と応えた。

言葉を継いで「管轄地区からこの一件だけが離れているので、社員で対応しようにも移動ロスが非常に大きいんです。仰ることはよくわかりますが、わたしたちの気持ちも汲んでください。」と訴えられ、さすがに二の句が継げなかった。

20年前は定年された高齢者と言っても、気力・体力ともに現役世代に見劣りしない方が作業していたのだから、マンションはキレイになるし挨拶などのマナーも教えるよりも先に、既に自分のものにしている方ばかり。

だからマンション清掃の単価も結構高かった。1H/1600円なんて単価は珍しくもなく、予算が余っている物件ともなれば、1H/1700円とか1800円でマンション日常清掃単価として受注していた物件もあったほど。

会社の受け値も余裕があったし、当時は60歳定年制で再雇用の働き場所も無かったことから、時給1200円で募集しても20~30名ほどの応募者が毎回いるぐらいの盛況で、より良い人材をこちらの方から選ぶことが可能だったわけ。

しかし日本経済がデフレスパイラルに突入すると、急激に超高齢社会が浮き彫りとなり社会問題化してしまったため、労働力人口確保のための施策として60歳定年制度の撤廃や生涯現役社会が提唱されることとなる。

そのような雇用の流れと反比例するようにマンション管理人に良い人材が来なくなり、次いでマンション清掃でも高齢者が徐々に敬遠し始めていく。

こうなると管理組合もあれこれ粗探しを始めて、無理難題や難癖を押し付けてくるようになる。

「清掃費が高い!」
「清掃の質が落ちている!」
「いまの業者が気に入らないから変えろ!」

更にマンション管理士の肩書きを持つ怪しげなコンサルタントが管理組合側に「このようにすれば管理委託費をもっと下げられる」とマンション裏事情みたいな情報を理事長の耳に吹き込んだりしてくる。

これらの情報を盾に管理組合の方では管理会社と清掃会社を相手に「契約解除」をチラつかせながら、管理会社に支払う管理委託費をガンガン値下げしていったのだ。

このデフレに乗じた値下げ交渉で、マンション管理人費・清掃費は平均値で1H/1100円のレベルまで減額要求を飲まされたらしい。

だが近年は貧困家庭の増加にも見るように、労働者の生活を守ろうという観点から最低賃金が毎年高い比率で上昇している。この先3~4年もすれば東京や神奈川では最低賃金が1000円の大台を超える見通しだ。

このように時世は常に動いているのに、社会に合わせた値上げ交渉のテーブルに一切応じようとしない管理組合も少なからずあるようだ。

2007年に日本は本格的な超高齢社会に突入した。世界保健機構(WHO)が定義する超高齢社会とは、総人口に対して65歳以上の高齢者人口が21%を超えた社会を「超高齢社会」という。

高齢社会は先進国且つ経済状況が豊かな国家でなければ実現できないという側面もあるが、日本の高齢化率は23%と世界の中でも最大の高齢社会国家なのだ。

この劇的な高齢化のために経済及び医療や社会サービスに悪影響を及ぼしている。更に輪をかけて深刻な事態に陥っているのが、出生率低下と未婚率増加という歪な社会構造上の問題である。

国連が2010年に発表した「世界人口白書2010年版(※1)」の調査によると労働者数から退職者の減少を補うためには、日本は退職年齢を77歳に引き上げるか2050年までに1700万人の正味移民を許可する必要がある。と指摘している。

また政府や厚生労働省でもこの状況を鑑み「高年齢者雇用対策の概要(※2)」では、高年齢者が年齢に関わらず働くことができるよう企業の受け入れ拡充と、労働者不足ならば高齢者を積極的活用しようという方針へと既に舵を切っている。

今後この議論の行き着く先は「年齢による定年退職制度の廃止」へと推移していくだろう。

2000年代初頭、社会構造的に近い将来必ず訪れるであろう超高齢社会、そして労働力人口の減少がもたらす人手不足については誰もが予見できていたはずだ。

つまりこの労働市場が劇的に変化する15年前辺りから、深刻な高齢化と人手不足について対応するために、関係各社は交渉に動いていなければならなかったはず。

それなのに現状でも高齢化や人手不足感を嘆いているのなら、それは他の誰のせいでもない管理会社と清掃会社の怠慢こそがすべての原因である。

顧客から法外な要求をされるため常に下卑た態度で接し、過剰に媚びたサービスを「これが本来享受されるべきサービスなのだ」と勘違いさせ、顧客を増長させてしまったことが、この業界に携わる関係者すべての罪過なんだよ。

マンション居住者のモンスタークレーマーが発するクレーム処理に東奔西走させられ、その処理のためだけに一日中追われて、他に処理しなければならない仕事も手を付けることすら敵わないほどに社員は疲弊してしまう。

仕事の大半をこのようなクレーム処理にのみ費やされ、人手が足りなければ休日返上や場合によっては睡眠時間を削ってまで現場対応しなければならない。生産的なことなど考える暇も与えられず、ただ日々疲弊していくだけの毎日を送っている。

そんな割に合わない業種でありながら、低賃金で優れた人材が集まってくるとか本気で信じているのかね?貴方たち経営者やその幹部たちは?本当におめでたい人達だね。失笑

経済紙などではいわゆる「2020年問題」について紙面を割くことが多くなっているが、この中で東京五輪が開催される2020年以降には景気後退期に突入し、東京を始めとする首都圏のマンション需要が一気に縮小する見通しであることが報じられている。

つまり今後のマンション経営について大きな節目の転換期を迎えることになるわけだ。

マンションではこの時期からいわゆる大規模修繕工事を迎える棟数も多く、またこの大規模修繕費用が毎月の修繕積立金だけでは全然足りていない、などといったトラブルの事例も伝え聞く話しは枚挙に暇がない。

管理組合側にしてみれば、この大規模修繕用に積み立てていた修繕費に加えて、不足した分を各世帯で更に捻出しなければならないケースも多いはずで、この辺りの話題は非常にデリケートな部類のものだろう。

そんな状況下なのに「マンション管理人や清掃員の業務委託費を上げてください」ってお話しを今更ながらオメオメと交渉することが出来るんですか?笑

状況的には事実上不可能なはず。つまりこの15年間で劇的なまでに作業単価は暴落したが、今後15年かけて15年前の相場、つまり30年前の作業単価の水準にまで戻すことが出来るだろうか?という疑問にはハッキリとお答えしておきます。

「絶対に無理です、諦めてください。」

居住者にとってはこのマンションが自分たちの生活の場なのだから、常に美観が維持されていて管理人による背中の痒いところに手が届くような親身なサービスを受けられることは、住空間を快適なものとするうえに一種のステータスでもあるわけだが、建物というのは経年劣化していくものだから都度手を加えて修繕する必要がある。

2020年以後の新築マンションでも大手ゼネコンが手掛け、且つ財閥系管理会社などが管理業務を行うのなら、それなりに品質の高いサービスを受けることも可能かも知れないが、無名のゼネコンに聞いたこともない管理会社が管理業務までタッチするのであれば、過度な期待など初めからしないほうがいいだろうし、むしろ入居そのものを考え直したほうがいい。

経年劣化したマンションから、新築マンションに住み替えられる人なんて極めて少数だろうし、多くの人が経年劣化するマンションと歩みをともにするだろう。

そのマンションも居住者が高齢者世帯だけになってしまえば、金銭的な負担が大きいマンション管理人や清掃員は不要と判断されるケースだって間違いなくあるだろうしね。

しかし記事本文にもあるように

そのうちの1社の幹部は言う。「われわれは新規受注獲得、業容拡大が使命。管理人さんがいないのでこれ以上引き受けられない、できませんとは言えない」

と宣ってしまう大手管理会社の大幹部様がいるようなところは、随分とレベルの低い人が役員になってるんだな、と鼻で笑ってしまいたくなる。嘲笑

何でもいい人までマンションのコンシェルジュとして雇ってしまったから、昨年発生した福山雅治さん宅に管理用として預かっていたスペアキーを利用し、コンシェルジュが居住部に侵入(※3)した挙句、妻の吹石一恵さんと鉢合わせするという前代未聞の珍事が発生したんだよ。笑

結局のところ東京都心部のマンション新築ラッシュとは、それに携わる業者が建て続け・売り続け・管理し続け・工事し続け・清掃し続けることしかビジネスモデルを有していないということと同義で、既存のビジネスモデルが崩壊してしまえば採算を追うことが出来なくなるはず。

既に日本は人口減少社会に突入している。それでなくとも2017年5月現在の時点で住宅は供給過剰な状況だが、東京五輪までは一定の入居率を見込めることから、ゼネコンもデベロッパーもイケイケドンドンでマンションを建て続ける。

でも実際のところ本当に大切なのは新築マンションではなく、こちらも新築物件同様に急増している空き家・空きビル問題の方だろう。適切に管理されなくなった物件では放火などの悪意の災害や倒壊・景観の悪化、そして不審人物が不特定多数出入りすればテロリストの温床にもなり得てしまう。

これら諸問題のほうがわたしには新築マンション建設やマンション管理人・清掃員の人手不足なんかよりもっと深刻な社会問題に発展してると思うよ?

明らかに供給過剰な建て過ぎ現象に対して、一切の規制も発しない政府・自治体に対し、わたしは心の底から失望し、そして侮蔑している。

記事:http://toyokeizai.net/articles/-/173594
出典:http://toyokeizai.net/
引用:世界人口白書 2010(※1)
http://www.unfpa.or.jp/cmsdesigner/data/entry/publications/publications.00038.00000005.pdf(※PDF)
引用:高年齢者雇用対策の概要 |厚生労働省(※2)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137096.html
引用:コンシェルジュの40代女逮捕 福山雅治さん宅侵入容疑 警視庁(※3)
http://www.sankei.com/affairs/news/160522/afr1605220009-n1.html

TAKEMOTO, Toshio
TAKEMOTO, Toshio
わたしはPsychopathでありAlcoholismと戦っています

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