アングル:GDP確報値で消費上振れ、物価押し上げには力不足の声

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今回から国連の最新の基準を使い推計方法を見直したことで、2015年度のGDPは基準変更で31兆円嵩上げされたが、7~9月のGDPニ次速報値は下方修正された。

アベノミクスの公約である2020年度までに名目GDP600兆円達成のためになにがなんでもGDPを押し上げるぞ!というメッセージが込められた大本営発表だったが、改定値をよく見ると円高で消費が伸びているようにも見えなくはない。

このまま名目GDPが平均+2.5%前後で成長していけば、2020年度の名目GDP600兆円は達成可能な換算となる。

一次速報値からは下方修正となったが主たる要因は民間設備投資。(前期比+0.0%→-0.4%へ下方修正)

結局はいつものことではあるが、全体の60%を占める個人消費と、民間企業の内部留保資金を如何に設備投資へ向けさせることができるか?

実はあまり触れられてはいないが、ここまで14ヶ月連続で個人消費が前年割れしている。

高齢者給付金のバラマキなど安倍内閣も個人消費を底上げしようと必死だが、この程度ではGDPに反映されるほどの個人消費には繋がらないということだ。

個人消費を上げる方法で真っ先に意見が挙がるのは賃金を上げる方法だが、今後はAIなどが各産業に進出することで世界的に見て労働者が余剰となることが見込まれる。

企業はより安い労働力に仕事を流すのだから結果的に賃金も下がっていく一方だろう。個人消費を上向かせる材料に乏しいのがここ20年ほど続いている。

日本は人口減少期に入り特に生産年齢人口の減り幅が大きい。つまりGDPが成長していく材料に乏しい。

日本は完成された国家故に、インフラ整備はある程度終わっている。まだライフラインが不足している地域もあるだろうが、その整備が国家的事業に成り得ることはまずない。

そしてGDPを押し上げる力が強い製造業も、世界的なグローバル化が進んでコストが安い海外生産が主となっている。

この先企業合併も相次ぐことが予測されるし、産業の二極化が一気に加速するはず。つまり中堅規模の企業はその産業の違いに係わらず淘汰されていくだろう。

またGDPに限らず税収や雇用も同じ。2007年に表面化したサブプライム・ローン問題によるバブル崩壊、そして2008年のリーマン・ショックによって世界的な金融危機に発展し、需要消失による世界同時不況に陥れる引き金となった。

G7主要国は金融対策として、公的資金と民間資金で金融機関の資本増強を図るなど金融政策を行い、事後2~3年で経済を立て直したが、日本だけが7年もの歳月を費やした。

この間に政権交代や東日本大震災など相次いだイレギュラーな出来事もあったことは事実だが、リーマン・ショック前の水準まで立て直すのに実に7年もかかったのだ。

この後政府は東京五輪を盛り上げて2020年度に名目GDP600兆円を達成するために、公共事業など主に官需を増やしてGDPの成長率を上げようとするだろう。

そして無事アベノミクスの公約を達成して、安倍首相は赫々たる姿で勇退するだろうが、貧富の格差は年々拡がっている。

つまりこの再重要案件は次世代への課題として持ち越しとなるわけだ。

特定の数値だけを抽出し、すべての物事を国家安泰と安易に判断してしまうのは非常に危険だろう。

記事:http://jp.reuters.com/article/gdp-japan-idJPKBN13X0P9
出典:http://jp.reuters.com/

TAKEMOTO, Toshio
TAKEMOTO, Toshio
わたしはPsychopathでありAlcoholismと戦っています

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