「賃上げしても消費は拡大しない」 経団連会長、政府に対策要請へ

ec_2017-0111

ちょっと古い記事ではあるんだけれど…。個人消費がなかなか伸びない理由は、このブログでも何回か書いてるつもりなんだけれどね。

なんつうか、やっぱり生活にダイレクトに直撃してしまうことだから、少しクドいくらいに掘り下げてみるのもいいかなと。

実際賃金引き上げだけで景気回復するかと言えばそれは絶対有り得ないわけだからさ。いまさら改めて言わなくともみんなはすべてをわかっているよね?笑

榊原会長より以前、経団連副議長という重責を担っていたオリックスグループCEOの宮内義彦元経団連副議長だが、実は労働者派遣事業の規制緩和策を当時の小泉内閣に進言した張本人でもある。

しかし結果的にこの規制緩和が、非正規雇用者が抱える派遣切りや貧富の二極化などの、社会問題を招いた根源であるとの手厳しい指摘もある。

だから経団連がいまさら個人消費が伸びないのは賃上げ以外にも問題がある、と言い切るのはまさに昨年末の民進党の蓮舫代表よろしく、言葉のブーメランで自らにも傷を負わせてしまう行為にも等しい。

まずは労働者派遣法さ、これをとっとと廃止しないと。どう考えたって稀代の悪法である派遣法が、非正規労働者の立場を苦しくしているんだから。

2015年度の労働力調査ではアラフォーを迎えた氷河期世代の35歳~44歳の非正規雇用者数は実に393万人にまで昇る。これは25歳~34歳(290万人)、45歳~54歳(387万人)よりも断然多い。

そして50歳を基準とした生涯未婚率は男性24.2%・女性19.4%と過去最低を更新(※1)している。この生涯未婚率の割合は更に高まっていくことが予測されている。

つまり本来消費の中心を担うべきである35歳~44歳の氷河期世代だが、そのうち20%以上は子供をもうけるどころか、結婚すら叶わずに生涯を終えるのだ。

つまり氷河期世代のような今が旬の働き盛り世代なのに、非正規率が高いから低収入しかなく結婚生活を送ることなどとても出来ない。つまり個人消費など増えるはずがないんだよ。

こういう夢のない時代をもたらした労働者派遣法の規制緩和こそがすべての諸悪の根源とまでは言わないが、それでも晩婚化・初産高齢化そして出生率低下など危急存亡の秋を招いた大きな要因であることに誰も異論は無いだろう。

ごく一部の限られた人間だけ賃金が上がる、要は大企業の正社員の賃金のみ上がったってまったく意味がないわけ。これは公務員だって同じでしょ。

それならば業務請負契約の一番下で仕事を請ける末端請負企業に対して、パートも含めた全従業員に一律100万円くらいバラ撒いて配ってみたほうが案外面白いかも知れない。

だって日銀が量的緩和することで、銀行に金配って民間の融資に回して欲しいって言っても、あいつら結局貸さないから金が市場に流通しないんだよね。

こんな茶番劇を延々と繰り返すしか脳がないなら同じ円を刷るにしても、末端請負企業で「本来受け取るべき労働対価」を還元しながら配った方がよっぽどマシなんじゃね?

大企業はその業績に応じて十分に定昇・ベアしていると思う。

しかし本当の問題は実際に工事・作業を請け負う下請会社まで、必要な資金が回らない偽装請負や派遣法などが蔓延る社会構造そのものにあるのはみんなわかっているんだけどね。

だが元請企業から仕事を切られたく無いあまり、末端請負企業でも労基法や下請法の違反を最初から前提として「どこまで低価格化すれば受注できるか?」という無責任な見積りを作成している。

つまり完全に底が抜けた、低価格化のレベルの低い過当競争、これこそが負のスパイラル…。

結局この構造で誰が一番割りを食わされてしまうかといえば、それは言わずもがなであろう、末端請負企業の非正規労働者なんですよ。

だから非正規労働者の最低賃金や社会保障などを、他の先進国レベルまで引き上げるよう、早急に法整備すべきなんだがね。

そしてこのような非正規労働者を雇用してる末端請負企業にしても、請け負った業務の施工価格も競合他社との過当競争の挙句「これでホントに出来るのか?」という価格で受注してしまったりする。

ましてや非正規労働者にかけられる賃金はもう最低賃金レベルしか残っていない有り様なのに、仕事の責任や皺寄せはこの非正規の末端奴隷労働者にすべて集約されるわけ。

でも今後も最低賃金は上がり続けるし、近い将来に底を突きかけるほどに財源が無い社会保障費の企業負担額は、大企業・中小零細企業を問わず企業に対して一律にかけられるわけ。

つまり他社との過当競争の果てに、この程度の人件費負担や社会保障コストの企業負担分すら支払い能力が無くなり、資金繰りが立ち行かなくなった企業であれば、ここは市場から速やかにご退出いただけるよう我々が促そうではないか。

初めから自社の事業に関連する法令遵守の意識がまったく無く、コンプライアンスという概念が完全に欠如しているブラック企業であればどの道この先も同じことを繰り返すだけ。自浄作用が無いからブラック企業なんだからさ。

だからそこで生き残った企業は競合他社に対して、本来の在り方である「価格交渉力」を共に伸ばしていくべきなんだよ。

ブラック企業撲滅を含めたすべての労働正常化対策は、利権がらみに弱い厚生労働省や経済産業省などの官公庁主導で行うのではなく、政府がイニシアティブを握ってこれを行うべきである。

まずは賃上げしてもそのほとんどが増税などによって実質的な可処分所得が十分増えていない。

銀行は金利下げても企業に貸さない、企業は大幅な純利益を積み上げても内部留保に回す。個人は賃金が上がっても簡単には消費せずに貯蓄する。つまりはこの社会が「先行き不安」な国家だからだよ。

今回榊原会長が苦言を呈したのは、政府が「子育て世代の生活保障」や「老後の不安解消」にイチ早く乗り出して欲しいというジレンマでもある。

これらの構造的な問題を改善しない限り、個人消費が拡大する材料はまったく無いのだから。

政府がイニシアティブを握り、労働市場の改善策として最も効果的な雇用政策は「労働者派遣法の法改正(原則非正規雇用の禁止)」「最低賃金の引き上げ」「定年制度の見直し」である。

特に定年制度の年齢引き上げ及び雇用義務化で、2025年度には65歳までの雇用義務が企業に課せられる。

結局は老齢年金の財源不足による保護措置ではあるが、企業に雇用義務が生じるため労働者は65歳までは取り敢えず定職がある。というシニア世代の不安感が多少緩和されるので消費拡大が期待できるはずだ。

しかしわたしが考える究極且つ公平な改善策で最も重要なのが、国民の総貯蓄再分配政策を行い国民間の貧富の差を取り除いた後、ベーシックインカム(BI)へと移行することではないか?

つまり小手先だけの金融緩和や財政出動では、国民の消費意欲を高めることなんて出来ないしまったく意味を成さないよ?ということ。

オーストラリアでは昨年7月に改定された2016年度の最低賃金が17.7豪ドル(約1500円)となっており、オーストラリアの最低賃金は世界で3位以内に入るほどの高賃金国なのだが、この労働者の高賃金が企業活動の妨げ(※2)になっているという。

また北欧の国フィンランドでは2017年1月から2000人を対象に、ベーシックインカムを試験的に導入する(※3)こととした。この対象者には収入や資産・雇用状況にかかわらず、毎月一律560ユーロ(約68000円)が支給される。

当面は2年間の期間限定運用であるが、フィンランド政府はこの計画は長期的に資金の節約に繋がると試算している。これは北欧を中心とした高い福祉制度が国家の大きな負担となっているからなので、多少日本とは事情が違う。

しかしこれから本格的な高齢化社会を迎える世界の先進国は、このベーシックインカムの結果を強い興味を示しながら注視しているという。

記事:http://www.huffingtonpost.jp/2017/01/09/story_n_14070114.html
出典:http://www.huffingtonpost.jp/
引用:生涯未婚率が劇的に改善か、2015国勢調査を分析(※1)
http://blogos.com/article/188453/
引用:人件費高騰、豪経済を圧迫=最低時給1500円(※2)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017010400086&g=int
引用:ベーシックインカムを試験導入、2千人対象 フィンランド(※3)
http://www.cnn.co.jp/business/35094497.html

TAKEMOTO, Toshio
TAKEMOTO, Toshio

わたしはPsychopathでありAlcoholismと戦っています

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