倒産減っても休廃業・解散が最多 中小苦境

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これがいまの日本産業の縮図なんだよね…。帝国データバンクが毎年集計している「全国『休廃業・解散』動向調査(※1)」を紐解くことで、地方衰退と中小零細企業の苦境が伺える。

まず企業倒産件数なのだが、2015年度の集計では8517件と6年連続で前年を下回っている。倒産件数が9000件を下回ったのは2005年以来10年ぶりのことだった。

この要因として都心部やその通勤圏などで建設投資が拡大されたことで建設業の倒産が大幅に減少したもの。

都心部ではこのままオリンピック特需があり、関連施設の建設やタワーマンションの建築ラッシュなどもあるので需要は多いのだが、かねてからの人手不足に悩まされている。

日銀による異次元緩和の継続により以前よりも上場企業では資金繰りも安定しているようだが、しかし中小零細企業では中小企業金融円滑化法の終了後も引き続き返済猶予を受けている企業が多い。

しかし時代や社会的にそぐわない企業が市場を退出させられるケースは今後増えていくと思われる。

そして企業の休廃業・解散件数なのだが、2015年度は2万3914件だったのに対し、2016年度はこれを遥かに上回り2万9500件を超える見通しとなった。

こちらでも特に建設業で休廃業・解散の占める割合が非常に高く見られ、木造建築工事業・土木工事業・建築工事業・大工工事業などがランキングの上位を占めている。

この建設業に携わる業者では7640件が休廃業・解散を決めており、集計全体における構成比の実に31.9%を占める結果となった。

前述した通り建設業では人手不足が事業継続に関わるほどの深刻な問題となっている。

現状では大幅な赤字ではないのだが、事業を引き継げる有力な後継者がいないことから、廃業を選ぶケースが目立ってきているという。実はこちらのほうが地方経済にとって深刻な問題が潜んでいる。

ここで倒産/廃業の比率を見ると、東京では倒産1社に対して廃業1社とほぼ同数の割合なのだが、地方ではこの比率が大きく変わってくる。

例えば九州地方では、大分で倒産1社に対し廃業8社、宮崎では倒産1社に対し廃業11社と、廃業割合が実に10倍以上にまで開いてしまうのだ。

しかし決して見過ごせないデータがあり、これら廃業企業は決して経営状態は悪いわけでなく財務体質も健全なのだが、黒字企業であっても最終的に廃業を選ばざるを得ない事情がある。それが「後継者難」と「人手不足」である。

経営者も高齢化しており全国の社長の平均年齢は、前年より0.2歳延びて60.8歳となり、60歳代の大台を超えている。

今後も平均年齢は上昇することが見込まれているのだが、都心部と比べて地方都市ではすべての産業において潜在需要が低く経営的にも伸び悩んでる企業が更に多くなるだろう。

まだ市場でも余力を残して充分に戦える力があるこれらの企業が廃業してしまうことで、地方の雇用は失われるし、その都市で新しい仕事を探そうにも肝心の職がなければ、労働者及びその家族は新しい安住の地を求めて地方都市を離れるだろう。

産業の潜在需要が低ければ地方都市では即時雇用が失われてしまうので、多くの若者を含む人材が東京などの仕事がそれなりに豊かな大都市圏へ流出してしまう。

これらの負の連鎖が引き起こすものは深刻な後継者難と人手不足であり、そしてこれらのファクターが重なり合うことで、地方衰退をより一層加速させてしまうのだ。

また都心部でも建設業やサービス業なども、中小零細企業では非常に厳しい判断を迫られるだろう。

現在でも外食産業は供給過多気味でもあり、マスコミにも取り上げられるような有名な人気メニューのある店やミシュランガイドに掲載されるなど飲食店に特段の「売り」が無ければ、この先巨大資本に吸収・統合という流れや、店舗を譲渡するという判断も経営者は想定しておかなければならないだろう。

また労働集約型産業のその他サービス業は、現状行っているサービスを単体で提供し続けても、製造業などと比較してサービス業の生産性は必ずしも高くはない。つまり労働の生産性が低ければ企業も大きな収益を上げにくいので、労働者に賃金として還元され難い面がある。

小売・飲食・運送・医療・介護などの職種は従事する労働者が多い一方で、他の産業とは相対的に平均賃金は低く設定されている。それ故に離職率も高くこれらのサービス業では常に人手不足感が付き纏っている。

サービス提供型の職種では商品開発力のある製造部門に余程太いパイプが無ければ、やはり企業同士の合併や統廃合などで細々と生き延びる術を見つけ出すしかない気がする。

今後も純粋にサービスの単価が上がる材料に乏しいのだが、アベノミクスが掲げる働き方改革を推進することで、更に最低賃金は引き上げられ、社会保障費の企業負担はより高額な負担を求め続けられるだろう。

この先市場で生き残るためには、相当厳しい経営を強いられる覚悟をしなければならない。

記事本文で東京商工リサーチの友田信男常務は、

「国としても将来性のない企業を市場から退出させ、成長力がある産業への労働力の集約を進める方向にシフトしている。」

と語り、今後金融機関からの休廃業の圧力が強まると指摘している。

そして、最後に中小零細規模の町工場を運営するうえのりゅういち専務取締役の、この記事に対するコメント(※2)で彼の心の叫びを聞いた気がした。このメッセージを是非読んでいただき、もし共感してもらえる方がいるならば幸いである。

町工場の立場からしたら「将来性の無い企業の退場云々」って馬鹿言うな!と思う。
どの仕事だって将来性なんて分かる分けない。
極端な事を言えば、将来性なんて無くてもよい。
ゼロになったら潰れるが、低位安定でも小さい会社は生きていける。
生きていけるのに廃業することが問題なのに、分かってない。
まだ、社会に必要とされる会社が消えることの何が新陳代謝だ?
数が少なくても関係者はみんな困るのだ。
大都市、大企業の人間に知った風に語って欲しくない。

記事:http://www.nikkei.com/article/DGXLASGC13H07_T10C17A1EE8000/
出典:https://medium.com/
引用:第8回 全国「休廃業・解散」動向調査(2015年)
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p160105.html(※1)
引用:倒産減っても休廃業・解散が最多 中小苦境 16年2万9500件超へ
https://newspicks.com/news/2001330?ref=user_133041(※2)

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TAKEMOTO, Toshio
TAKEMOTO, Toshio
わたしはPsychopathでありAlcoholismと戦っています

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