絵本『えんとつ町のプペル展』無料公開で炎上、キンコン西野氏の何が問題?

en_2017-0125

キンコン西野くんの「えんとつ町のプペル」無料公開については、ちょっと感じるところがわたしにもあったのだが、そのときは自論を上手く文章にまとめられる自信がなくて敢えてスルーしていた。

この発売開始から間もない、しかも話題作でまだまだ販売部数を伸ばせるコンテンツを「無料公開」に踏み切ったのは、果たしてこれは彼の英断だったのだろうか?

マスコミの報道などでここまでのあらましをご存じの方も多いのだろうが、小学生のファンからブログに「プペルを読みたいけど2000円は高すぎて買えない」という非常に小学生らしい意見を寄せられたことに端を発する。

西野くんはこの意見を受け、「お金ではなく『恩』を贈り合う時代に向かったほうが面白い」と無料公開(※1)を決めた。なるほどね、ここまではケチの付けようもない美談だよ。

この話しの下りは西野くんのブログに彼の考え方が反映されているので、興味がある方は一読されてみても良いかも。

ただね、エピソードが綺麗過ぎるほどに綺麗だと、そこに異を唱える方だって出てくる。今回議論に晒されたのが「無料にしてしまうと多くのクリエイター達が不利益を被ってしまう」という批判。

ご存じの方も多いだろうが、このえんとつ町のプペルは西野くんが監督・脚本を手掛け、賛同した多数のクリエイターと共に作り上げた共作だったこと。

つまりプロジェクトリーダーの独断で、制作したクリエイター達にも権利がある共有著作権の共同著作物を、無料公開することに共有者全員から承諾を得ていたのか?

ただ西野くんに噛み付いてきた著名人からは、共同著作物としてクリエイター達が受け取るべき報酬、そして制作に関わったクリエイターの他の作品にまで影響が及び、その結果として作品が売れなくなるなど負の影響が大きいのでは?という懸念する声が多かった。

特に物議を醸したのは西野くんのアーティスティックな才能を認めている声優の明坂聡美さんがTwitterで「ネットで無料公開するのは今の子供には特に危険な行為なんじゃ…時間と労力を費やしたものに対価を払う意識がなくなるのでは」と指摘している。

この指摘に対して西野くんは公式ブログ上で「これはフリーミアム戦略(※2)である」として反論する。それによると

絵本の無料公開を始めた1月19日、書籍を扱うネット通販サイト、Amazonと楽天ブックスの売れ行きランキング(1時間ごとに更新)では総合順位で1位を獲得した。

と売れ行きランキングでの数字を上げ「結果的に絵本の売り上げにも貢献している」と論拠を示した。

この論争には後に声優の大御所までが乱入・参戦してきたが、わたしはその辺のごちゃごちゃしたやり取りにはまったく興味が無いので割愛させていただきます。

えんとつ町のプペルを無料公開する際、西野くんはブログ上で「『お金が無い人には見せませーん』ってナンダ?」という言葉に繋げてお金の奴隷解放宣言であると主張した。

お金の奴隷解放宣言ってなかなか愉快なネーミングだね、キライじゃない。

西野くん言わんとするフリーミアム戦略って、例えばYouTubeなどを効果的に活用してYouTubeユーザーの嗜好、すなわちGoogleが保有しているユーザーデータをマーケティング活動に利用して、そのユーザーが興味を持っているコンテンツを優先的に表示することでセールスに結び付ける、という音楽業界などでよく取り入られてる手法のこと。

特に目新しいマーケティング戦術ではないのだが、しかし絵本を制作するイラストレーターなどの分野は特殊な技巧性が要求されるアーティスティックな分野であるからこそ、携わる人はフリーランスが多くならざるを得ない。

西野くんがブログで綴っているように

「SNSで誰とでも繋がれるようになり、『国民総お隣さん時代』となりました。ならば、お金など介さずとも、昔の田舎の集落のように、物々交換や信用交換で回るモノがあってもおかしくないんじゃないか。「ありがとう」という《恩》で回る人生があってもいいのではないか」

「『10万部売れるコト』よりも、『1億人が知っているコト』の方が遥かに価値がある」

という考え方にはとても賛同できるし、ブログにメッセージをくれた小学生に対し

「そしてキミが、キミのタイミングで、誰かに恩を贈ればいい」「たぶん、僕らの時代は、そっちに向かった方が面白いと思うよ(*^^*)」

という信念はとても素晴らしいよ。きっと人間的な器が大きい人なんだろうな。

だから今回のような「無料化」という前例を、西野くんのような著名人が作ってしまったという事の重大さが、今後の制作現場においてどのように影響してしまうか?

事実、このお金の奴隷解放宣言のおかげか、えんとつ町のプペルは発行部数が23万冊から25万冊に増刷したらしい。

プペルの発行部数が増えれば増えるほど、参加したクリエイターたちにも手元に入る収益分配は多くなるはずなのだが…。でも、ちょっと待って欲しい。

いちばん大切な部分に与える影響が未知数だからこそ、西野くんがその場の思い付きだけで「フリーミアム戦略」などと口走ったのだとしたら、直ちにこの発言を訂正していますぐ撤回して欲しい。

これは多少悪意のあるツイートやコメントに対する著名人のAnswerとしては些か行き過ぎてるよ。

だからこそ、その業界で生きていくクリエイター達の立場も、わたしは西野くんに慮って欲しいのだ。

記事:https://thepage.jp/detail/20170124-00000005-wordleaf
出典:https://thepage.jp/
引用:ベストセラー絵本「えんとつ町のプペル」無料公開 「高くて買えない」小学生からの声受け
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1701/19/news084.html(※1)
引用:キンコン西野、絵本ネットで無料公開 声優らの批判に反論「フリーミアム戦略で売り上げにも貢献」
http://www.huffingtonpost.jp/2017/01/22/king-kong-nishino_n_14324502.html(※2)
参考:大ヒット中の絵本『えんとつ町のプペル』を全ページ無料公開します(キンコン西野) – Spotlight
http://spotlight-media.jp/article/370505056378315909
参考:キングコング 西野 公式ブログ Powered by LINE
http://lineblog.me/nishino/

TAKEMOTO, Toshio
TAKEMOTO, Toshio
わたしはPsychopathでありAlcoholismと戦っています

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