最低賃金、過去最大24円上げ 中小支援へ助成金拡充

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今年の最低賃金の引き上げ額が決まった。最低賃金は全国平均で時給24円引き上げ822円が目安額となり、そして引き上げ率は3.0%で安倍首相が求めた水準での最低賃金の引き上げとなった。

事実、第2次安倍内閣になってから最低賃金の引き上げ額・率は高い水準を保っている。

この点については素直に評価したい。

これは民進党政権下では恐らく実現することがない案件だろう。

最低賃金改定での賃金上昇分を補うために、企業は賃金上昇分の差額を商品価格に加算して人件費に充当する。

しかし最低賃金が上ってもモノ・サービスの価格まで値上げされてしまえば消費は増えない。

結局はイタチごっこになるだけだろう。

つまり経済を活性化させるために消費を後押しするならば、企業は出来うる限りモノ・サービスの原価を企業努力によってコストカットを最大限図り、価格を据え置くくらいでなければダメだと思う。

要は経営者や役員、管理職の給与・報酬を削って商品価格に転嫁すれば良いだけ。実際に仕事をこなすのは最前線の最低賃金奴隷なのだ。

その部分に進んで投資していかなければ景気回復を始め、企業の収益性改善を図るなんて土台無理に決まってる。

経営者・幹部職など自分たちには痛みが伴わないのに、すべての責任を末端労働者へ一方的に押し付ける汚い商売はもういい加減辞めたほうが良い。

日本の中小零細企業、ここで日本人の85%くらいが当て嵌まり働いていると思うが、そのような弱小企業ほど内需による市場・経済に頼ってる。これは構造的に仕方のない側面もあるのだが。

賃金、特に労働分配率の抑制を行うと、内需の縮小が起こり景気は後退していく。

市場が縮小することでモノ・サービスが売れない・儲からないという悪循環のループに嵌ると賃金の抑制やリストラ・雇い止めなどで企業は原価率の高騰を抑えようとするする。

景気が低迷している中では庶民の購買力も低下しているから、更に市場が縮小するという悪循環に陥る。

日本の中小零細企業は、この負のスパイラルから実に15年以上抜け出せていないのだ。

そしてこれからも無限回廊から抜け出せる明るい兆候は全く見えてこない。

「賃上げすれば潰れる・賃上げしなくとも潰れる」

つまり低迷し続ける日本経済において、既存の中小零細企業のビジネスモデルは、市場でもはや通用しないという何よりの証左でもある。

最低賃金上昇の影響がそのまま会社経営を直撃してしまうのは「労働基準法違反すること」を前提に業務を請けてしまう、俗にいうブラック企業である末端請負会社のようなビジネスモデルだろう。

このような末端請負会社が淘汰される。つまり倒産してしまえば元請業者及び中間搾取業者は、その他の末端請負会社に多少高めの発注金額を払うか、それとも自社で直接業務を行うかを選択することになる。

コスト上昇分はその業務を請ける企業が吸収するか、それでも補えなかった分を製品価格に転嫁して値上げするか。

つまり「業務効率化+価格のインフレ」である。

実は国連にも日本の最低賃金は人間の生存基準を下回っており適正ではない、と指摘されている。先進加盟国の中では日本が飛び抜けて最低賃金の水準が低い。

経済学の実証研究結果の多くは最低賃金を上げると雇用が減るという新古典派経済学の命題を反証している。

これは日本政府との縁も深いスティグリッツ博士やクルーグマン博士も同様の見解を示している。

御存知の通り現在では主婦がパートをする場合、その年収が103万円を超えると税負担が重くなり、そして130万円を超えると夫の扶養から外れ自分で社会保険料を納めければならなくなる。

このために年収が103万円もしくは130万円以下に収まるように労働時間を調整して働いている既婚女性はかなりの数に昇る。

つまり最低賃金が引き上げられた場合、扶養の範囲内で働きたいと考えるパートタイマーは、103万円もしくは130万円を超えないように労働時間を調整する既婚女性が増えることになるわけだ。

ただ国民に消費を促すのであれば以前から指摘されながらも放置され続けてきた、悪しき慣習である「年収103万円の壁」を改定、もしくは事実上撤廃をしなければ根本的な問題解決にはならないだろう。

ちょっと話しが脇道に逸れるのだが昨日26日未明、神奈川県相模原市にある障害者施設で、平成以降最悪の犠牲者数となる凄惨な殺人事件が発生してしまった。

この事件で逮捕された植松聖容疑者の犯行は決して容認出来ない蛮行でありわたしは強く非難する。

しかし脇道に逸れたのはこの事件を断罪するためとはちょっと違うある事情が浮かんできたからだ。

今回の事件現場となったのは神奈川県相模原市にある障害者施設「津久井やまゆり園」。

このやまゆり園ではハローワークで求人募集を掲載しているのだが、この求人をめぐり「求人条件が酷過ぎる」「何で夜勤でこんな低賃金なんだよ」という同情の声がネット民の中で相次いでいるのだ。

やまゆり園での業務内容や雇用条件はさまざまなのだが、植松容疑者が勤務していたと見られる夜勤生活支援員の時給は、神奈川県の最低賃金である905円(※1)だったからだ。

この事件をきっかけに障害者施設に勤める介護職員の雇用待遇や就労環境などの問題が逆に注目を浴びる事態となっている。

「なんで介護って低賃金なんだろう」
「介護職や福祉関連職はもっと尊重されるべきで待遇や給料も改善すべき」

介護職の劣悪な就労環境は以前から声高に訴えられていたが、最前線の介護職員たちの窮状はまったく改善されていないことが図らずも露呈された。

わたしはやはり同じ時給だったとしても、例えば深夜の介護作業とコンビニでは仕事内容の負担の強さが違うように、その職種により生じる労働強度にはかなりの相違性があると感じるのだ。

この先も世帯収入の平均所得に上積みが見込めるとは到底思えないし消費が増える要素もない。

日本経済は不況というより実質「衰退」していると感じてしまう。

そのような経済下でも、今後も市場ニーズの高い介護職のような特に労働負担の強い職種には、最低賃金以外にも国や自治体からの特別な支援が必要ではないだろうか?

画像は同施設のハローワーク求人情報。905円は「低すぎ」か。
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記事:http://www.nikkei.com/article/DGXLASGC27H0A_X20C16A7MM0000/
出典:http://jp.reuters.com/(※画像上)
出典:http://www.j-cast.com/(※画像下)
引用:「やまゆり園」夜勤時給が905円 最低賃金ギリギリに「かわいそう」(※1)
http://www.j-cast.com/2016/07/26273579.html

TAKEMOTO, Toshio
TAKEMOTO, Toshio
わたしはPsychopathでありAlcoholismと戦っています

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