配偶者控除の撤廃分は子供あり世帯への控除に

go_2016-0903

「女性の地位が高くなると相対的に出生率は低下する」

これはどの先進国にでも見られる現象で、日本の出生率が著しく低下したのは、男女雇用機会均等法(※1)が施行された辺りと前後する。

国際的には古くより「女子差別撤廃条約」を批准するために活動が行われており、日本もその動きに同調する形で性差別の撤廃などが均等法に盛り込まれた。

つまり少子化とは「均等法が社会活動における女性の地位を高めたことで適切に運用されている」と図らずも証明されたということだ。

基本的に主婦がパートに出て稼ぐことが出来るのは、既に子供から手が離れているはず。

子育て中の主婦は親と同居などの条件が重ならない限り、短時間パートでも仕事をするのは難しいだろう。

経営者側から見ればパートとして雇っても「年収103万未満の範囲でしか働けません」というパート主婦ばかりなので、配偶者控除の範囲内で尚且つ社保年金の加入要件に満たないよう人数だけを揃えれば良かった。

それが配偶者控除が廃止され、社保年金加入要件までハードルが低い位置にまで下がってしまった。

こうなると中小零細企業はたとえ雇用形態がパートタイマーであろうがますます雇いにくくなるだろう。

現状は配偶者控除という制度があることで女性の社会進出や労働時間の抑止力になると考えられている。

これらの諸問題を含めた税制改革で優遇措置を廃止することで、女性の労働力を市場に促し労働力不足を解消する狙いがある。

しかし現時点では配偶者控除の廃止が濃厚なのだが、配偶者控除に変わる共働き世帯を対象とした子育て支援強化のために新しい控除を導入するのか、それとも浮いた財源をそのまま社会保障に充てるのかはまだ発表されていない。

ただ単に配偶者控除が廃止となれば、単なる増税と同じことなのだから家計を圧迫し出生率はますます低下するだろう。

しかし日本政府は少子化対策として出生力の回復のための施策、育児休業制度の整備・保育所の充実などの子育て支援・乳幼児や妊婦への保健サービスの強化などを進めてきたが、これまで十分な効果を上げられたとは決して言えないだろう。

税制改革において少子化対策を盛り込むことは間違いなく必要である。

つまり子供の扶養控除を拡大する方向で税制優遇の議論を進めていけば良いと思うのだが、日本政府は少子化対策をどのように捉えているのだろうか?

次に日本政府が手を付けるのは、悪名高い「国民年金第3号被保険者」の廃止ではないか?

この問題は以前より指摘されているが、会社員や公務員の妻は配偶者が加入する厚生年金・共済年金で一括で納めることで国民年金を受給できるが、共働き世帯や自営業世帯の妻にはそれぞれ年金保険料の支払い義務が生じるのは明らかに制度が歪であり不公平過ぎる。

そしてこのままでは年金の財源が将来的に枯渇することは間違いなく、いずれ第3号被保険者の分類そのものが廃止となるかもしれない。

一連の税制改革でもっとも懸念されるのは、実質的な増税による消費停滞を招くこと。

配偶者控除が廃止されると扶養者である夫の税負担は重くなることは避けられない。

家庭を持つ世帯なら家族の娯楽などの回数が失われるだろうし、増税が家計を圧迫するため物を買わなくなってしまうかもしれない。当然ささやかな外食の機会なども減るだろう。

可処分所得の減少が永続的なものとなれば個人消費も落ち込むのは自明の理である。

アベノミクスが掲げる一億総活躍社会とは、新たな三本の矢として「経済成長」「子育て支援」「社会保障」の分野を重点政策とし、これを推進する具体的な数値目標として

・名目GDP600兆円への拡大
・希望出生率1.8の実現
・介護離職ゼロ

を掲げている。

いずれも東京五輪が開催される2020年までの達成を目指すというが、今まで就労していなかった女性や中高年を引っ張り出し総動員させることで、当面の労働力人口の減少を抑制しつつ国内需要の伸びを促す。

しかし国民一人ひとりが活躍できる社会の土台作りがとても重要なのだが、結婚・子育ての希望は現在でも実現し難い状況にあり、また介護と仕事を両立するための受け口が無いことも非常に問題である。

一見女性の社会進出で男女間の格差が無くなり、平等且つ対等な立場で社会に貢献することが可能になったと言われてはいるが、結婚・出産・子育てと仕事の両立が難しい状況は以前となんら変わっておらず、女性の継続的な就労環境は妨げられたままだ。

「子供を生む」という特徴的な身体のメカニズムから、やはり女性のほうが家事・育児・介護などのいわゆる「収入に換算できない仕事」のウエイト大きくなってしまうのは仕方がないのかもしれない。

男女雇用機会均等法で形式的には「男女同権」が図られているのが、その精神面ではやはり「男尊女卑」の差別的な目線は未だ排除できていないのだと思う。

記事:http://blogos.com/article/188711/
出典:http://toyokeizai.net/
引用:男女雇用機会均等法関係資料|厚生労働省(※1)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000133471.html

TAKEMOTO, Toshio
TAKEMOTO, Toshio
わたしはPsychopathでありAlcoholismと戦っています

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