都内最低賃金958円に 26円引き上げ

go_2017-0810

今年も東京都の最低賃金は現行より引き上げ率を2.79%とし、26円引き上げ1時間当たり958円で調整を進めていくこととなった。この水準は政府が掲げる働き方改革実行計画に基づく最賃引き上げ(年率3%)のほぼ要求通りの答申となる。

厚生労働省の中央最低賃金審議会では2017年度の最低賃金の目安を、全国平均で25円引き上げ848円にすることと決定(※1)。

各都道府県も安倍政権の要求を汲むべく、ほぼ要求通りの水準で引き上げ額の調整が図られるようだ。この最低賃金の引き上げは地域によって異なるが10月1日を目処として適用される。

でもどうせなら東京都の最低賃金は一気に960円まで引き上げちゃえば良かったのにね。笑

単純に東京の事業所で常時1000名が月/20日稼働した場合、最低賃金が26円引き上げられると…

26円×1000名=1H/26000円負担が重くなる。
これが8時間労働なら26000円×8H=日/208000円の負担増。
更に20日出勤ならば208000円×20日=月/416万円も余計に負担しなければならない。

つまり単純に考えると、現状の稼働率で粗利益を無視しても416万円分の売上を確保できなければ、月収40万円の社員を10名整理しなければならないわけでね。

これを1年間で見ると、
416万円×12ヶ月=4992万円、実に年間5000万円ですよ?同じ仕事内容なのに5000万円も人件費が余計にかかるってね…。失笑

また単純に最低賃金は同じ26円、雇用従業員は500名、パートを含めたその会社の平均実労働時間が4時間、稼働日数が25日間であれば…

26円×500名×4H×25日=130万円/月
年間で130万円×12ヶ月=1560万円の負担増。

政府の政策とはいえ、いくらなんでもこれは酷すぎるのではないか?というのもなるほど頷ける話しである。

ご自分が担当でなくとも、最低賃金の引き上げによって自分の会社がどの程度のダメージを負うのか?ちょっと試算してみるのも面白いかもしれない。笑

この10月以降の最低賃金引き上げにより、すかいらーくはガストを始めとするファミレス店の一部商品を、10月より値上げすることを発表(※2)した。

以前は最低賃金引き上げの話があっても、企業努力で価格を据え置いていた企業も多かったのだが、最近は賃上げと連動して価格改定を打ち出す企業が多くなった気がする。

要はギリギリのところで均衡を保っていたが、最早それでは出血を止められないということと同義で、この手のサービス業には最早余力が残っていないことの証左でもある。

わたしは以前ビルメンテナンス系の仕事をしていたことがあり、設備や清掃などもほんの少しだが囓っていた時代がある。

いまでも清掃業に携わっている経営者や幹部職の人など、以前の仕事を通じて知り合った方々から、たまにお話しを聞かせていただく機会もあるのだが、先日清掃契約物件の某マンションでこんなことがあったという。

その会社はマンションの入居開始とともに、日常・定期清掃業務を管理会社から受注したそうだが、定期清掃については基本6名で作業に入り、丸1日時間かけて終わらせていたそうだ。

しかし毎回作業していくうちに作業工程も要領を得て、また洗浄方法も工夫することで時間短縮が可能となり、作業の効率化を図っていったのだが、ここで管理組合からまったくの想定外といえる物言いがついてしまった。

その驚愕のクレームとは管理組合の総会で、

「毎月定期清掃に来ている清掃業者の人数が当初と比べて少なくなっているのに、終わる時刻はむしろ徐々に早くなっているのだが、これは一体どういうことなのか?」

と理事会役員から思いっ切り噛み付かれてしまったというのだ。

この件で管理会社と清掃業者の担当者が火急のうちに理事会へと呼び出され、その場で定期清掃の作業人数及び作業工程など、すべての回答を求められたという。

管理会社の担当者は清掃業者を庇いながら、参加している理事会役員に平身低頭の姿勢で懇切丁寧に理解を求めていったそうだが、その健闘も虚しく清掃費の減額要求をついに飲まされてしまったという。

正直、この部分に顧客からご理解をいただけないというのは、商売として致命的だよねぇ?

清掃業者は労働生産性を高めるために、作業や資機材などを工夫して効率化を図っていったのに、管理組合側は「お宅の利鞘の部分はお支払しませんよ?」って言うんだからさ。笑

マンション清掃っていうのは、現金支出の口が内部留保資金たっぷりな製造業の大手企業などではなく、早い話がそこに入居する居住者、つまり一般家庭の世帯収入の中から管理費として支出したものが原資となるわけだから、打ち出の小槌のように振れば振るほどお金が湧いてくるということはまず有り得ない。

また近年マンション所有者が急増したことで、管理費・修繕積立金など他のマンション管理組合の収支報告なども検索すれば簡単に閲覧できるし、ネットが発展したことで管理組合同士、横の繋がりがより強固になっている気がする。

サービス業もここまで遜っているのに、それでもまだまだ遜り方が足りないなんて言われたらさ?これはもうどうしようもないし、防ぎようもないよな。

これ言っちゃアレだけどさ、そんなトコの清掃したって無意味だし、ヤリ損なんじゃねえの?笑

中小零細企業なども労働生産性を高めるために、会社レベル・現場レベルで切磋琢磨して効率を高め、相応しいサービスを提供しようとしてるにも関わらず、その努力や工夫の部分については一切評価しないばかりか、更に業者を貶めるような仕打ちをしちゃダメでしょ?

現在のサービス業における最大の課題ともいうべき労働生産性の向上だが、商取引の過程に血も涙も無く、そして人の繋がりを感じられた体温すら奪われれば、その産業は一方的に衰退していくことは必然。

最低賃金が引き上げられれば、労働者にとって非常に喜ばしい話しであるのは間違いない。

しかしその賃金を労働者に支払わなければならない企業、特に中小企業の中でも一番末端の一番割に合わない価格で業務を請け負わなければならない零細企業の生き残りゲームは、いよいよ現代の魔女狩りの様相を呈してきたようだ。

記事:http://www.nikkei.com/article/DGXLZO19837200Z00C17A8L83000/
出典:http://toyokeizai.net/
引用:最低賃金引き上げ、「民間賃上げ」上回る 2年連続3%台(※1)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF26H0N_W7A720C1EE8000/
引用:すかいらーく、10月値上げ=サラダなど-人件費増で(※2)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2017081000841&g=eco

TAKEMOTO, Toshio
TAKEMOTO, Toshio

わたしはPsychopathでありAlcoholismと戦っています

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