TPP法案の採決、新米大統領の就任後に=上院院内総務

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TPP(環太平洋連携協定)の協定文書を発効するためには、現在のGDP比率ベースのルールのままだと、米国が批准しなければTPPはそこで頓挫してしまう。

オバマ現大統領はトランプ氏が就任する前に批准する方向で議会に働きかけを行ってきたが、今回の選挙戦で米国民のTPP反対の世論が非常に強いことが判明したため、現状では政権を奪還した共和党が慎重論を打ち出している。

しかしオバマ大統領の民主党は、TPP法案の可決を目指し最期まで諦めない考えだが、実現の見通しは相当に厳しいという。

その動きと並行するように本日10日、日本の衆院特別委員会で与党がTPPの承認案と関連法案を半ば「ゴリ押し」で可決させた。野党も徹底抗戦する考えだが、結局は数の論理で与党がこれを押し切ってしまうだろう。

与党がTPP批准を急ぐのは、アメリカがもたついてる内に日本に優位な条件で交渉のテーブルに着きたいからに他ならない。この動きに日本が遅れてしまうと今度は逆に日本にとって厳しい条件、即ち関税協定を突き付けられるだろう。

まして昨日「アメリカ・ファースト」のトランプ候補が新大統領に就任することが決まり、この可能性がますます高くなってしまった。だからこそ安倍首相は今後の交渉におけるアドバンテージを何が何でも取っておきたいのだろう。

大統領選からトランプ氏にしてもヒラリー氏も選挙公約の中にTPP撤退を織り込んでいた。

ヒラリー氏が勝利し民主党が3期連続の政権を担えば、民主党内で意見を調整しTPP批准への道筋が秘密裡に進められていたというが、トランプ・共和党はTPPそのものを蹴ってしまうかも知れない。

現状ではアメリカのTPP離脱で協定自体が頓挫してしまう可能性が極めて高い。

ならばアメリカ抜きのTPPを発効させればいい、という意見もあるが、この規模では中国に対して有効な包囲網、即ち経済的圧力とはならないだろう。

TPP参加により最もダメージを受けるのが、安倍内閣がTPPの成長戦略と位置付ける農業改革と医療サービス。

農家の高齢化・後継者不足などただでさえ危機的な状況に変わりがないが、更にTPPによる「関税の撤廃」という圧力が加わることで日本農業は殲滅しかねない可能性は若干薄らいだかもしれない。

そして医療保険が自由化されることで、国民健康保険制度と医療報酬を決める保険点数制度のシステムが崩壊すると言われている。

「レベルの高い医療を受けるにはより高額な医療費を支払わなければならない」というアメリカ流の医療システムが導入されてしまうこと。これでは受けられる医療に格差が付いてしまうことになりかねない。

またバイオ・医薬品の開発データ特許期間がすべて実質8年間に統一される。

つまり特許医薬品と同成分で低価格のジェネリック医薬品をいまよりも短期間で販売可能となるのだが、後発医薬品で薬価が下がっても医療費がいまより高額になってしまえば、それはまるで意味が無いのだ。

TPP参加によりこれらの懸念以上に深刻で社会問題化してしまいそうなのが、実は雇用問題にある。

なぜ海外企業が日本にはあまり進出してこないのか?それは他国と比較して高い法人税率がネックになっていたから。

政府はこの法人減税を推し進めることで海外企業の進出、つまり海外資本を取り込み日本市場への積極的な投資を促すことが狙いなのだ。

しかし日本への進出に消極的な海外企業には実はもう一つネックになっている問題がある、それが現状の日本の雇用制度だ。日本では解決金制度、いわゆる金銭解雇は認められていない。

だが雇用の流動性を高めるための金銭解雇導入論、即ち解雇規制の緩和を日本政府に強く迫っているのは誰であろう、実はアメリカそのものなのだ。

現状では労働者の権利は法的に守られているが、元々対人関係がドライな海外企業は自国と同様の解雇の仕方で度々世間を賑わせている。

「ロックアウト解雇」や「隔離部屋」など、強引なやり口で不当解雇された労働者が裁判で係争する例も決して少なくはない。

だがグローバリズムという旗のもとで日本の経済界や経営者の中では、解雇規制の緩和を積極的に取り込みたい思惑があるので、このような流れは企業側にはむしろ好都合なのだろう。

厚生労働省は解雇規制の緩和に慎重なスタンスではあるが、この制度化については問題点を検証し議論を進める方針だという。

仮にTPPが暗礁に乗り上げても解雇規制の緩和については、TPPとはまったく無関係に法案が成立してしまうかもしれない。

いつまで経っても日本はアメリカの隷属に甘んじて、敗戦国との誹りをこれからも受け続けなければならないのだろうか。

記事:http://jp.reuters.com/article/usa-election-trade-idJPKBN1343HU
出典:http://jp.reuters.com/

TAKEMOTO, Toshio
TAKEMOTO, Toshio
わたしはPsychopathでありAlcoholismと戦っています

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