ことが深刻なのはこうした事態のとき、常に矢面に立ってエリザベス女王を庇ってきたエディンバラ公フィリップ殿下の発言ではなく、女王自身が発した批判であることだ。
女王自ら国の賓客を批判するコメントを出すのは異例中も異例。
言い方は悪いが習近平主席の中国は、相当な思い違いをしていたのかもしれない。
中国は近年の経済成長と発展を盾に、今回の訪英とはまったく関係のない日本の名をしばしば口にしていることからも、新しい「アジアの盟主」たる扱いを英国に求めたのだろう。
「非礼」と一括りにしても様々なケースが考えられるが、トップ外交にはTPOへの特段の配慮を求められる。
その場に相応しくない装いだったという意味もあれば、王室への特段の敬意を払わず精神的に非礼と思われる振る舞いがあった場合などが考えられる。
こう断定するのは批判もあり異論を挟む余地もあるだろうが、わたし自身中国は後者のケースだったのだと思う。
女王自らコメントすること事態極めて異例なのだから、今回の中国の非礼な振る舞いは国益に反するもの。
むしろこのようなヘッドラインニュースがメディアから世界中を駆け回ったのだから、中国の報道規制などの圧力が最早かからないほどに国力が落ちてしまっているという見方もできる。
何にせよ中国にとって今回の訪英は非常に悪い結果となった、習主席体制下の外交的な評判はしばらく回復することが出来ないだろう。
今回の訪英でキャメロン政権は中国がもたらす外貨を有り難がり、非常に低姿勢でおもてなしをしたのだが、その外交姿勢に英国内では批判の声もあった。
中国批判を展開したエリザベス女王のコメントの意図は、外交における英国王室なりのプライドを見せ付けたかったのかもしれない。
ウォールストリートジャーナルは、英国王室を「85歳の女性CEOによって経営される非上場の株式会社」と評している。
非常に面白い評価だなと思いつつ、エリザベス女王とは英国内においてイギリスの強さを象徴するシンボルともいえる。
御年90歳を迎えてもまだこの貫禄。お身体くれぐれもご自愛のほど…。